アレクサンダーテクニークを初めて体験する(読了時間:3分)

僕と友人は芦屋の小野ひとみ先生を訪ねました。本を読んですぐ小野先生がボディ・マッピングの講座をしていることが分かったからです。

ボディ・マッピングとは、アレクサンダー・テクニークが学習しやすいようにアレクサンダー教師のコナブル夫妻が考案したある種の考え方のツールで、アレクサンダー・テクニークそのものではありません。

当時はその事も分からないまま、アレクサンダー・テクニークじゃない?どうしよう?とか話しながら、結局参加することにしました。

ボディ・マッピングをざっくり説明すると、自分の身体についての思い込みを、事実に置き換えてみるものです。

例えばピアノを弾くとき、ある指の関節の認知が現実と違うと力がスムーズに伝達しないので、代償として余分な筋肉の緊張(りきみ)が起こります。

その誤った関節の認知を是正すると力の伝達がスムーズに起こるので力みは解消する、ということを取り組みとしたものです。

ボディ・マッピングは2020年の今でこそ色々な人が本を出して講座をしていますが

2001年当時はアレクサンダー教師の専売特許のようなものでした。

今思えば学習、というより情報、という感じでしたが、知らないことばかりだったし身体の動きや感覚に直接影響があるので、友人と感心して帰りに熱心に話し合いました。

しかし、僕らには「なんで今日のはアレクサンダー・テクニークじゃなかったんだろう?」という疑問が残りました。

帰りがけに小野さんからアレクサンダー・テクニークのレッスンの案内がありました。

2年後まで予約が埋まっているとのこと(!)でしたが、キャンセルがあれば体験はできるとのことでした。

友人とその後も何日かかけて話し合い、結局友人はこれ以上手を出さず、僕はキャンセル待ちを頼むことにしました。

ドイツにまた向かうまであと2週間、受けられないだろうな、と思っていました。

ドイツまで再出発秒読み、という所で小野先生のオフィスから連絡が入り、キャンセルが出たのでアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けられる、とのことでした。

正体も価値も未だ分からずどうしようか迷いましたが、せっかくなので受けることにしました。

阪急芦屋川駅を降り、南へ下り小野先生のお宅に向かいます。二度目の訪問、大きな洋館で中にルネサンス調のチャンバーがあります。明らかに普通のお宅ではない。

その後分かったのですが、今よりもずっと前にアレクサンダー・テクニークの教師になろうとしたらそれなりの財力が必要で、小野先生が日本でいち早く認

定教師になれたのもその辺りの事情があったのでしょう。

実はアレクサンダー・テクニークは今から40年以上前には日本に上陸していたのですが、ロジックが多少ややこしい上、手を出すにはお金がかかるということでなかなか広まらなかったとのこと。

さて、初めてのレッスンは体験、というべきものですが、詳細は割愛します。レッスン後、身体はフワフワ頭は混乱という状態で小野先生のお宅を後にしました。

お断りしておきますがこれは小野先生のせいではありません。この頭の混乱、というのは、単純に自分がこれほどまでに抽象概念と身体感覚を照らし合わせたことがなかったからです。

言葉を「こんなに、こうやって」身体のために使ったことがなかった、とでも言えばいいでしょうか。

至福と混乱で浮遊した自分を地面になんとか保ちながら、目前に迫った二回目のドイツ生活に向けて準備を進めるのでした。