ショート動画解説「イスの背もたれは使わないほうがいい?」

NWIトレーニングのショート動画「イスの背もたれを使わないほうがいい?」の解説をします。


動画リンク「椅子の背もたれは使わないほうがいい?」


僕がドイツでアレクサンダーテクニークを学んだあと、京都のアレクサンダー・アライアンスというトレーニング・コースに入りました。


その集まりでは円形に椅子を並べて勉強するのですが、僕は椅子の背もたれを使いませんでした。


他の生徒さんはみんな背もたれにもたれていたので、「体の使い方の勉強をしているのに、どうして体に悪いことをしてるんだろう」と思っていました。


授業中、誰かが発言している間はディレクターの新海みどり先生が生徒の後ろに回ってワーク(手で働きかける)をする事がよくあるのですが、彼女は僕のところに来ると僕をそっと椅子の背もたれにもたれるように導き、「ねえ、楽でしょう?」と言って他へ移っていきました。


僕は彼女が去るとまた椅子から背を起こしてピシッとしていました。そのうちまた彼女がきて、椅子の背もたれに僕をそっと誘(いざな)い、「ねえ、楽でしょう?」と言い残していくのでした。


3ヶ月はこのやり取りが続いたでしょうか。僕は「なんで僕がせっかく良い姿勢で椅子に座るのを崩すんだろう?」と思っていました。


それがある時、自分が「アレクサンダー・テクニークを勉強している事」に縛られている事に気付きました。


発見したのは背もたれから頑張って離れている自分であり、背もたれを使う人を見下げている自分であり、以前自分が丸い背中をしていたのをなかった事にしようと頑張っている自分でした。


それらは、自分の背中を伸ばして腰を突っ張らせていたという体に、赤裸々に表されていたのです。


この事実に気付いたとき、僕は降参して椅子の背もたれに降り立ちました。


すると椅子からサポートがやってきて、先生が言うように本当に楽だったのです。





これは良い悪いの話ではありません。


よかったらこれを読んだ後、改めて椅子に座る時、あなたの頭や体が自分にしている事を、ちょっとだけ観察してみて下さい。